2022年になり、2023卒の就活生で早い方は面接もいくつか受け始めているようです。コロナ禍での生活の変化への慣れも進み、採用活動をすでに始めている企業も増えています。弊社でも、各大学様と2023卒向け合同説明会の企画や運営のご依頼も板いており、就活生に残された準備期間も多くは残っていないような就活市場のスピード感であることが伺えます。
年明けの就活生が就活準備で悩む事柄の1つに、ガクチカがあります。特に、コロナ禍の影響で、ガクチカに悩む学生はさらに増えていくのではないかと予想しています。今回はガクチカについて、具体的なネタ探しのコツについて触れていきます。
そもそもガクチカとは?
ご存知の方も多いかと思いますが、ガクチカとは、「学生時代に力を入れたこと・頑張ったこと」の略称です。学生時代に自分自身が努力をしたこと・成し遂げたこと、もしくは失敗した経験やそこから得た学びのことです。成功・失敗の経験とそこに至るプロセスについてをまとめるものとして一般的に捉えられています。
企業の面接でよくガクチカを訊かれるようになったため、就活生の間でも必須レベルの事前準備として対策されていますが、これを面接で訊くことにはある意図があります。
それは、面接受検生の内面的な部分(性格・価値観)を知ることです。なぜなら、その人が本来持っている強みや内面を知ることでより良い採用ができる、と考える企業が多いからです。学生時代に何か顕著な功績を残したり、貴重な経験をしたり、実績的な部分は見えやすいですが、それだけではなく、その功績や経験に対して『どう感じて、どう考えたのか』という性格・価値観を知りたいと企業は考えています。
このようなことから、ガクチカは、外面的な実績・具体的な経験談に加えて、その時の感情や思考・行動に至った意図や想いなど内面的な部分まで含めて表現するものなのです。
コロナ禍でガクチカに書くことない学生増加
ガクチカに書くネタをどのように探せばいいかという相談は例年よく耳にしますが、最近多いのは『コロナ禍でガクチカに書けるような活動がなくて、上手く書けません…』という相談です。
コロナ禍は就職活動全体に影響を与えていますが、普段の学生生活に対しても大きな影響を与えています。部活動サークルやアルバイト、海外留学など、学生だからこそ打ち込める活動も経験しにくい世の中になっているのです。「ガクチカで書けるような活動ができていない→ガクチカが思い浮かばない」というように、書けるネタ探しに苦戦している学生が例年より増えているように感じます。
下記では、ガクチカのなかでも特にネタ探しについての具体的な方法をいくつかご紹介いたします。
コロナ禍でのガクチカのネタ出し
その1)これまでの人生・経験を書き出す
これまでに経験した出来事のなかで、印象に残っている出来事・苦労した出来事・全力を尽くした出来事は、自分自身の核となる性格や価値観が表出しやすいポイントです。過去の経験を思い起こして書き出すことで、より自分らしいガクチカのネタを探すことができます。
ex)ライフラインチャート
一例ですが、これまでの人生・経験を書き出す方法として「ライフラインチャート」というものがあります。
このように、自身の人生における感情の高ぶりや落ち込みを時系列の曲線で描き、具体的な経験や出来事を書き込むことで、どの出来事の時に何があってどんな気持ちになったのかまとめて振り返ることができます。
筆者も就活をしていた時代にライフラインチャートを作成したことがありました。
これを上手く活用してガクチカのネタ出しをするためには、
1.グラフの山と谷が大きい時の出来事の具体的な書き出しに時間をかける。
2.出来事ひとつひとつに対して、「なぜその気持ちになったのか」を書き出す。
3.その出来事のなかで、自ら考え自ら行動したことを書き出しておく。
がポイントだと当時から感じています。
この3点を意識してライフラインチャートを作成することで、ただの経験談ネタではなく、自分らしさがしっかり映るガクチカのネタを見つけることができます。
その2)趣味・特技から探す
これは意外だと思われる方もいるかもしれませんが、趣味・特技からネタを探し出すことも手段としては有効です。学生のなかにも、「みんなのように部活やサークルも入ってないし、実家暮らしでバイトもしたことがないので…」という方がよくいます。そんな学生ほど、「趣味などはガクチカに書くべきものではない」と思い込んで、一般的に評価されそうなガクチカのネタを探そうとしたりもします。
ですが、ガクチカとはそもそも、ある経験をした時に自分が『どう感じて、どう考えたのか』を表現するものです。外面的な経験が何であろうとも、そこに向かった自分の努力や思考が映るものであれば、それは立派なガクチカと言えます。
過去に支援をした学生で、「学生時代はサークル所属しておらず、アルバイト経験もない。これまでにがんばったことが思い浮かばなくて悩んでいる」という方がいました。
カウンセリングをしていると、彼は「ぷよぷよ」というゲームが得意だということが分かり、そのゲームの最中に考えていることや攻略のコツなどたくさん教えてくれました。全国大会でベスト8になったこともあるという彼のコツは、「次の次を予測すること」「何度も練習をし続ける粘り強さ」でした。この話を軸にガクチカをまとめて面接に臨んだ結果、はじめての内定を獲得することができました。企業からの最終面接のフィードバックも、まさに彼がガクチカで話した部分を評価したとのことでした。
この事例については、就活に一見ふさわしくないと思われる「ゲーム」というテーマで上手くいった稀な事例であるかもしれません。とは言え、このようなテーマを好まない企業もいるかもしれないので、他のテーマで強みを発揮した出来事を探しておくことも重要です。
ですが、まずは自分のありのままを見つける・言葉に表すためという観点では、身近で語りやすい趣味・特技のテーマから自分が意図的にがんばったこと・どう考えて何を自ら行ったのかについて、ネタを探してみるのもひとつのヒントになるかもしれません。
その3)コロナ禍の環境変化で新しくやりはじめたことから探す
世の中の変化により日常生活が制限されたことで、別の新しい方法で代替的に何かを行うこと、それに伴って必要な何かを学ぶことなどが増えたかと思います。例えばですが、オンライン主体になったコミュニケーションでより良い印象に見えるように、リアクションのトレーニングをはじめたという例、通っていた運動サークルが活動自粛となり、家でもできる筋力トレーニングをはじめたという例などがあります。
重要なのは、なぜ「やらない」という選択肢を取らずに、新しい何かを『やる』という意思決定をしたのかという部分です。環境変化で何かができなくなった時ほど、「やらなくなる」選択肢を選びやすい環境でもあるかと思います。ただそれに反して、何か代わりのもので継続しよう・継続したいという気持ちが些細でもあったからこそ、その人は何かをはじめることができたかと思います。大げさな理由ではなくとも、「なんとなくこう感じてこう考えたから…」と当時の自分の考えを深堀ることで、ガクチカのネタになるような話が出てくるかもしれません。
それでもネタが見つからないときは?
ここまでは、ガクチカのネタ探しの具体的な方法についてご紹介しました。
それでもなかなか上手くネタがでてこない、そんな時には下記のポイントも意識してみると、より幅広い視野でガクチカのネタを見つけることができるかもしれません。
★大きく失敗したこともガクチカになる!
ガクチカのネタにするのは成功体験が基本だと思われる方もいらっしゃいますが、決してそんなことはありません。なぜなら、その実体験での結果よりも、そこに対する考えや工夫が重要だからです。失敗した経験でも、その時にどう感じて、何を学んでどうしたいと思ったのか、自分自身の考えや意志が詰まっているのであれば、十分にガクチカのネタになります。
★大学時代の経験だけじゃなくてもいい!
学生時代と聞いて多くの大学生は、一番直近で思い浮かべやすい大学生時代を想像しますが、決して大学時代でなければならないという訳ではありません。なかには、中学・高校時代に力を入れたことでガクチカ作成をする方もいます。あまりにも昔すぎて記憶が曖昧な経験は避けるべきですが、少しネタ探しの幅を広げてみることもポイントです。
★実績ばかりではなく自分なりにどう考えて何をしたのかに焦点を!
実績を基準にしてガクチカのネタを探そうとすればするほど、「周りと比べてそんなにすごい実績じゃないな…」「胸を張って誇れる実績なんてないな…」と不安になり、ガクチカのネタの選択肢から自ら消していってしまうこともあります。まずはその実績の大小に関わらず、自分は当時どんな想いだったか、どんなことを考えながらその事象に関わっていたのかについて深堀ってみる視点を持つのがポイントです。
まとめ
例年悩む学生の多いガクチカのネタ探しも、コロナ禍の環境変化と自粛の世の中でさらに困難に感じる学生も増えてきました。もちろん、コロナ禍で活動できなかったという「結果」は仕方ないですが、ガクチカで真に求められるのは、そこで『どう感じて、どう考えたのか』という『自分らしさ・人柄』が映っているかどうかです。そこに焦点を当てて探してみれば、これまで気付きにくかった自分を知るきっかけにもなり、ガクチカも学生それぞれで自信を持って書けるようになるのではないでしょうか。