大学職員の皆様の中には、
「これから本格的に就活(企業との面接)がスタートする」という時期の3年生に対して、
就活セミナーを実施される方も多いのではと思います。
時期でいうと、大学3年の冬から、年明け3月のナビサイト解禁前後の頃。
この頃の学生は、「これから実際に企業に会う」または「会い始めたけどうまくいかない」
といったタイミングかと思いますので、そんな学生の悩みに合わせて、
自己分析や業界研究、面接練習といったセミナーを実施される大学も多いのではと思います。
そこで今回の記事では、これらの就活セミナーを、より「学生にとって意味のあるもの」にするためのポイントを、3つお伝えします。
結論から記しますと、以下の3つです。これらについて、順にお伝えします。
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効果的な就活セミナーを実施するための3つのポイント
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【1】学生どうしを交流させる
【2】学生の参加意識を高め、アウトプットさせる
【3】講師は1人1人を見てるよ、というのを節目節目にいれる
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以下、順に説明します。
【ポイント1】学生どうしを交流させる
セミナーに参加する学生は、必ず何かしら悩みがあって参加しています。
「自分は就活に関して不安なことは何もなく、順調に進んでいます!」という人は、そもそもセミナーには参加しません。
にもかかわらず、学生の中には、就活のことをあまり友人と話さない、もしくはコロナ禍でオンライン授業等がふつうになり、「話したくても、話す機会がない」という学生が少なくありません。
こうした学生は、自分のなかで就活に関するモヤモヤがたまり、ガス抜きのできていない人が多いものです。
ですから、まずはこうしたセミナーの機会に、そのガス抜きの時間を与えましょう。
一人で不安を抱えている学生にとっては、「就活について、自分と同じ悩みをもっている人がいるんだ」というのを知るだけでも安心できるものです。
実際、セミナー終了後のアンケートでも、「他の学生の状況が知れてよかった」という回答は多いです。
学生どうしの交流でおススメなのは、「自己紹介ワーク」
ガス抜きの時間を与える方法としておススメなのは「自己紹介ワーク」です。
具体的には、次のように行います。
手順1)自己紹介ワークを行う旨を伝え、リアルであれば同じテーブルや近くにいる数名で、
オンライン(Zoom)であれば、ブレイクアウトセッション機能を使って、
4人1組等、グループで行う旨を伝えます。
手順2)自己紹介で話す内容は、
①名前と学部等、簡単な自己紹介
②今の就活状況
③今日のセミナーで得たいこと(参加目的)
この3つをそれぞれ話してもらう旨伝えます。
手順3)時間は1人1分目安で、4人1組であれば5分をはかり、スタートします。
オンラインであればブレイクアウトセッション機能をスタートします。
※講師のあなたは、開始後、学生が話しているところを覗き、
上記2)の③「参加目的」が何であるか、聞ける程度で聞いておきます。
手順4)5分たったら終了します。聞こえてきた参加目的を拾って
「今日の参加者は、~~~について知りたい人が多いんだね」
「じゃあ、それについての情報提供をしていくね!」
などと伝えます。
これによって学生は「自分に合ったセミナーに参加しているんだ」
という認識した上でセミナーに参加できます。この認識があるかないかで、
こちらが伝えることの吸収力に違いが出てくるのです。
【ポイント2】学生の参加意識を高め、アウトプットさせる
あらゆることが、ネットで調べればわかる時代です。
したがって今の学生は、就活に関する動画や資料を、早い段階からいろいろと見ています。
しかしそれだけに、「ただ聞いていればよいだけ」のような研修を行うと、学生はすぐに「視聴者」になってしまいます。
また、就活はペーパーテストではなく「実践」ですから、いろいろ知っていても実際にできなければ意味がありません。
ですから、こうしたセミナーも、ネット動画のように一方的に学生に伝えるのではなく、
「自分で実際にできるようになる、そのためのアウトプットをさせる」場であることが望ましいのです。
そのような意識をもって我々もセミナーを設計し、かつ、学生にそう伝えると、セミナーの効果も学生満足度もより高いものになります。
では、「受け身でなく、参加意識を持たせる」「アウトプットさせる」セミナーとはどのようなものでしょう?
ここでは、その方法を3つご紹介します。
■方法1つめ「挙手させる」
セミナー中、学生に挙手させる機会を意図的に多くとります。
例えば、
「今まで、自分の面接のフィードバックをもらった人いる?」
「逆に、そういったフィードバックを何ももらったことがない人は?」
など、どちらも聞くと、学生はどちらかに手を挙げざるをえません。
また、挙手に近いやり方で「合図をしてもらう」のも有効です。
例えば、
「ここまでの内容でOKだったら、OKってやって!」などと言うものです。
そう言って「OK」をしない学生には、「〇〇くんは、わからない ところあったかな?」などと振ります。
これだけでも、一方的に伝えるだけのセミナーとは異なる緊張感が生まれ、学生の参加意識も高まります。
アウトプットさせる方法としてはやりやすい方法です。
■方法2つめ「発言させる」
挙手や合図から一歩進んで「発言させる」ということも有効です。
「当てられる授業は集中して聴く」という学生は今も昔も多いものかもしれませんが、就活セミナーでも同様です。
「ここまでの講義で、印象に残っていることって何?〇〇くんはどうかな」
「今の話、〇〇さんはどう思った?」
「〇〇について、〇〇さんはどう理解した?」
「今の話、自分の経験を踏まえて感じることって何かある?」
「〇〇くんのグループではどんな意見が出たか、教えて」
など、臆せず学生に振っていくのです。
ジェイックの講師も、セミナー中はかなり頻繁に学生に振っていきます。
ここで大事なのは学生に発言してもらうことですから、簡単な問いかけでよいですし、学生の発言は、どんなものでも基本的には歓迎・肯定する姿勢が大切です。
■方法3つめ「実践型のワークを取り入れる」
学生の参加意識を高めるだけでなく、実際の学習効果や学生の満足度を高める上で非常に効果的なのが、「実践型のワークを取り入れる」というものです。
例えば、以下のようなワークを取り入れるのです。
例)企業研究のセミナーの場合
インプットだけのセミナー・・企業研究のやり方は伝えるけれど、伝えておしまい
実践的なセミナー・・・・・・やり方を伝えたあと「実際に各自やってみて発表しよう」
例)自己分析の研修の場合
インプットだけのセミナー・・やり方をただ伝えるだけ
実践的なセミナー・・・・・・「実際に各自やってみて、お互いの感想をシェアしよう」
このように、実践型のワークを取り入れると、セミナーの効果は大きく高まり、学生も「自分でできるようになった」「ネット動画を見ているだけでは得られないものが得られた」と実感しやすくなります。
【ポイント3】講師は1人1人を見てるよ、ということを節目節目にいれる
先述の「発言させる」に似ているかもしれませんが、「講師が自分を見ている、見てくれている」と学生が感じることは、良い緊張感にもつながりますし、学生の研修満足度にもつながります。
そこで以下、「発言させる」以外の有効な方法を、2つご紹介します。
■方法1つめ「個別のフィードバックを積極的に行う」
フィードバックは、長い内容のアドバイスでなくても構いません。
笑顔の練習をして笑顔が良くなった学生に、「〇〇さん、笑顔が良くなったね!」
少し集中力が切れかかっていたり、手を抜いていたりしているように見える学生に、「〇〇くん、練習できてるかな?」など、ほんの一言の声がけでもOKです。
ジェイックの講師は、時間をとって面接のロールプレイングなどを行う際は、できるだけ1人1回は声をかけて、褒めたりアドバイスをしたりするようにしています。
■方法2つめ「セミナー開始前に、積極的に声をかける」
2つめは、セミナーが始まる前の時間に、入ってきた学生に積極的に声をかけることです。
リアルでもオンラインでも、講師が早めに入室して、来た学生に声をかけるのです。
この点、リアルセミナーの場合はそうしている講師の方も多いと思うのですが、オンラインセミナーになると、「開始時刻と同時に入室する」講師も多いように見受けられます。
しかし、リアルでやったほうが良いことは、オンラインでもやった方が良いのです。
オンラインであれば、例えば講師のあなたは15~20分ほど前に入室して学生が入れるようにしておき、入ってきた学生に対して
「〇〇さん、ズーム入室ありがとう。こちらの声は聞こえてますか?ちなみに今日は、何を見て参加してくれたの?」
など、簡単な内容で良いので、1対1での声がけをしてみましょう。
その一言があるだけでも、学生は「講師は自分を見てくれている」と感じるものです。
<上記内容を行うための前提として・・>
以上、効果的なセミナーを行うためのノウハウをいくつかご紹介しました。
ここで、これらを行う上での前提となるポイントについて、2点お伝えします。
■前提1 オンラインの場合、カメラオフOKのセミナーにしない
上記内容を行うためには、しっかりと参加者の顔を見てセミナーを進める必要があります。
したがってオンラインセミナーの場合、「カメラオフ」でセミナーを行うのは望ましくありません。
「カメラオフのほうが学生が参加しやすいから、カメラオフで良いのでは」と考える方もいらっしゃいますが、研修効果を考えれば望ましくありません。
■前提2 講師が「遠慮」しない
講師の気持ちの問題になりますが、講師が「遠慮」してしまうのは良くありません。
「こんなことを言ったら学生は不機嫌になるのでは……」と思う人もいるかもしれませんが、悩みを抱えてセミナーに参加している学生にそういった気遣いは(基本的には)不要です。
学生のことを思えばこそ、学生を信じて、ご自身を信じて、臆せず学生と接しながらセミナーを進行させていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
効果的な就活セミナーを実施するためのポイントは3つです。
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効果的な就活セミナーを実施するための3つのポイント
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【1】学生どうしを交流させる
【2】学生の参加意識を高め、アウトプットさせる
【3】講師は1人1人を見てるよ、というのを節目節目にいれる
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この記事が、貴校のより良いセミナー実施にお役立ていただけましたら幸いです。