23卒のインターンシップも動き出し、早期から企業選びや面接対策をする学生も着々と増えてきている頃ではないでしょうか。弊社では就活の中後期の学生から相談をいただくことも多いのですが、今まさに支援をしている22卒の方々も口を揃えて「面接がニガテです」とよく悩みを打ち明けてくれます。企業の内定をもらうために避けられない面接を、どのように理解して、どのように対策をしてあげられるかが、学生の就活成功には大きなポイントになります。今回は、面接の段階ごとの意図や評価ポイントをもとに、どういった対策をフェーズごとに行えばよいのか、ご紹介したいと思います。
◆企業の人事は学生をどのように評価するのか
・面接でよく見られている就活生のポイント
「面接官の質問の意図を理解して回答できるかどうか」を特に見られています。投げかけた質問に対して、まず学生自身の結論(考え・立場)を明確に伝えることができるか、その上で、そう考えた理由まで自分なりに述べることができるか、ここに終始着目している人事は圧倒的多数です。
なぜなら、社会人になると答えのない問いへの回答を求められることが増えるからです。問題に決まった答えがあった学生時代とは異なり、その人自身の意見や考えを伝える機会が増えてくるのです。また、入社してからの仕事上のコミュニケーションで、一方的ではなく相手の意図を汲みながら話せないと、多くの場合では円滑に業務をすすめることが困難になることもあるでしょう。
・採用したいと思う判断基準は何か
その学生が「自社で将来活躍してくれそうか」「長く勤続してくれそうか」、という未来のイメージをやりとりの中で想像して判断をしています。またそれ以外で、話す中の肌感覚で「一緒に働いてみたい」と思えるかどうかも、一番最初の判断基準となることがしばしばあります。
なぜこのような観点で評価されるかというと、そもそもの新卒採用をする目的にあります。
たとえ未経験でも働いていく中で活躍できる人財になれる、固有のポテンシャル・素直な吸収力のある学生を採用することが、新卒採用の主たる目的です。言わば、大量の岩場から隠れたダイヤモンドの原石を見つけ出すような難易度の高い活動です。そのため、現段階でどんなビジネススキルがあるかではなく、未来軸での可能性や本人の意志が評価の中心になりやすいのです。
それでは次に、面接フェーズごとでどのような面接の意図があるのかについて触れていきます。
◆面接フェーズごとの面接の意図の違い
・一次面接
第一印象やビジネスマナーなど、社会人として基本ができているかどうかなど、外見で判別できる部分での評価が中心になることが多いです。自社の社員として採用された際に、社内や取引先に好印象を与えられる最低限の身だしなみや立ち振る舞いができるか、よく見られています。
なぜその部分を主に見ているかというと、2つの理由があります。まず1つ目は、企業に関しての知識の浅い選考初期段階では、志望度合いなどの内面的な評価がしづらいからです。そうなると、面接に前向きであるか、コミュニケーションが問題なくとれるか等の部分で判断することになります。当然、「面接通過≒面接官が良いと思った」ということなのですから、通過させる面接官も責任を持って通過をさせているわけです。2つ目に、特にエントリーが重なる企業では、たくさんの学生の選考をこの段階でしなければなりません。そのため、なるべく最小限の時間で全員を判別するため、基本的なことができているかどうかをまずは見ていることもよくあります。
・二次面接
入社後の働くイメージができているかどうか、特にこの場面で見極められます。二次面接では企業の中身について聞かれることが多く、将来のビジョンやキャリアプランの方向性、仕事に対する取組み方について、特に深く掘り下げられます。
二次面接のフェーズでこの観点が主軸になる理由は、面接官の立場・役職に起因します。この段階の面接官は、現場で働く社員やリーダー、場合によっては部課長など管理職が担当することも企業によっては多くなります。そのため、より自分の部署で活躍できそうかという目線で、学生のポテンシャルや価値観を図ることを二次面接の大きな目的にしている企業は多いです。一次面接とは打って変わり、学生が「そこまで深く掘り下げられると思ってなかった…」と思うくらい、根っこにある部分について問われることが多くなります。
・最終面接
最終面接の意図は、自社に入社する覚悟・働く覚悟ができているかどうかを見極めることです。表面にはあまり見えにくいですが、他に迷っている選択肢があるのかどうか、なぜそれと迷っているのかなどを問われて、自社に入社することにどのくらい意思が固まっているのかを判別されます。
なぜこの点を見るかと言うと、“うちの会社”でなければならない理由を明確に理解するためです。
二次面接を通ってある程度その業界・職種で働くイメージがついていたとしても、多数ある同業他社のなかで自社でないといけない理由がなければ、長期的にみて良い採用とは言えません。
この学生なら高い可能性で入社後も持続的なモチベーションで良い働きをしてくれそうだ、採用をして間違いのない存在だという確証を持つための最終面接であることがほとんどです。
ここまで面接フェーズごとの意図の違い・評価ポイントをお伝えしました。続いて、その面接ごとの対策指導の方法についてご紹介いたします。
◆面接フェーズごとの面接の指導法の違い
・一次面接
この段階では、主に「相手から表面的にどう見えるか」にフォーカスを当てて指導していきます。服装・面接時のマナー・言葉遣いなど、ビジネスに適した基準に調整する必要があります。
ここで重要な指導ポイントは、「相手の基準」で整えることです。
身だしなみなど見た目については一通りの基準があるかと思いますが、特に難しいのは言葉遣い・コミュニケーションについてです。敬語をしっかり使えることは大前提ですが、企業や面接担当者によって、もしくは社風によって、どのような会話のしかたが好みなのかは様々です。面接担当者ごとに合わせることまではできませんが、会社の歴史・事業内容・HPの雰囲気などからおおよその社風を捉えて、それに合うようなコミュニケーションスタイルを想定・練習しておくことはとても有効かと思います。
※第一印象の指導法については過去記事でも詳しくご紹介しております。よろしければご参考にしてみてください。
・二次面接
この段階の面接対策では、掘り下げの質問を受けたときの対策を重点的に行うと、より通過に近づけます。具体的には、学生の「~と思う」「~をしたい」「~になりたい」という考えに対して、『なぜ?』を問いかけることが有効です。かのトヨタ自動車での生産方式のなかで、トラブル原因の本質を突き止めて確実に再発防止をする思考フレームでも活用されています。(トヨタ生産方式では、『なぜ』を5回繰り返すと言われています)これを用いて学生の考えをより深くしていくことが、二次面接の対策としては非常に効果性が高いです。
・最終面接
最後の局面では、入社・働くことに対する固い意志をどれだけ伝えられるかがポイントになります。同業他社も多数ある中でなぜここを志望するのか、ここで働いて自分や企業をどうしていきたいのか、迷いなく伝えきる準備をする必要があります。
そのためには、「その企業の決め手」を整理してあげると、学生もより迷いなく最終面接に挑むことができます。というのも、自分の大切にしたい軸との適合度が、自然と企業の決め手になっていくからです。自分の軸を改めて明確にすることで、『なぜ』そこを選ぶのかに加えて、『そもそも』どうなりたいのか・何をしたいのかと紐づけて志望理由を伝えられるようになります。入社への根拠が明確かつそれに対して迷いのない姿勢を見せることで、それが入社への熱意・覚悟として伝わります。
◆おわりに
ひとえに面接対策と言っても、段階ごとにこれだけ中身に違いがあります。必ず経験できるとは限らない本番の面接について、我々からどれだけリアルな情報を伝えて、どれだけ本番向けの準備を一緒に進めることができるかが、学生の面接通過の大きなカギになります。少しでも参考になっていれば幸いです、