6月1日に選考が解禁され、多くの企業が内定を出し始めました。
第一志望だった企業から無事に内定を獲得した学生もいれば、
残念ながら志望していた企業から内定をもらえなかった学生も出てくる時期です。
「3月から就職活動をしていて、7月になって企業が全滅してしまい、途方に暮れている…」
という学生も、例年、少なくありません。
なかには、そのまま就職活動を一度ストップして、秋や冬になってから再開する、という学生もいます。
ジェイックは例年、夏以降も就職支援を行っていますが、
今から夏にかけて相談に来るのが「自信を失ってしまった学生」です。
そこで今回は、多くの学生と接して支援をしている当社のキャリアアドバイザーに、
「自信を失って、就職活動を止めてしまった学生」がもう一度動き出すようになるための、
効果的なサポート方法について聞いてみました。
■夏前に自信をなくしてしまった学生からの相談のパターン
自信を失ってしまった学生に話をきくと、「自己PRに自信がない、思いつかない」
「面接に落ち続けて解決策がわからない」「自分に合う企業がわからない」といった課題を
耳にすることが多くあります。それぞれの課題に対する効果的なアプローチ方法をご紹介します。
<CASE1>
「自己PRに自信がない、思いつかない」学生には、
「どんな人だと見られたい?」と訊き、承認する
このような学生には、
「あなたはどんな人だと見られたい?」ときいて、「出てきた答えを承認する」ということが効果的です。
「自分には何もない」「大学時代に何もやってこなかった」と話す人が多いですが、
他の人と比較して目覚ましい成果を出していなくても、きっと何かしらをやっています。
ですので、まずは「何もやってないといっても、大学4年間、朝起きてごはんを食べて寝てるだけの生活をずっと送っていたわけじゃないでしょ?」「授業とかサークルとか、バイトとか、趣味とか、何かしてることはあるよね」と話してみてください。
人によっては、この問いかけのあと、少し考えて、自分なりに頑張った話やエピソードを話し始めるかもしれません。
もしそれでもエピソードが出てこない場合、
その学生は、「すごいことを言わなければいけない」「強み=目覚ましい成果、良いこと、企業から評価されやすいこと」という先入観に強くとらわれているのかもしれません。
そんな時は、次に「自己PRっていうのは、相手から見て、自分をどういうふうに見てほしいのかを伝えることだよ」「例えば、今、私にどんなふうに見てほしい?いいことを言おうとしなくていいから」と伝えます。
すると多くの場合、学生から「こんな人だと見られたい、思われたい」というのが意外とすんなりと出てきます。「周囲から見られたい自分像」を持っている学生は実は多いのです。
「見られたい自分像」を学生が答えたら、それに対して「そんなふうに見られたいということは、そんな自分像を意識して生活してきたり、経験があったりするということかな?」と聞いてみます。そうすると、何かしらのエピソードやそれを意識した行動・経験の話が出てきます。例えば、「真面目な人だと思われたい」人は、真面目に取り組んだ経験が何かしらあるものです。
こうして出てきた「自分像やエピソード」は、しっかりと「承認」しましょう。
自分では自信を持てていない内容ですので、その内容・要素がいかに社会や仕事で役立つものであるかを伝えて「承認」するのです。
なお、学生の中には、「仮にそれが長所だったとしても、何か結果を出したわけじゃないし、自己PRにはできない」と考える人もいます。しかし仕事においては、やったことすべてが明確な成果に結びつくとは限りません。むしろ大切なことは、取り組むプロセスでの姿勢や価値観だったりします。「結果がないからダメ」と考える学生には、そういったことを伝えて承認するとよいでしょう。
<CASE2>
「面接に落ち続けて解決策がわからない」学生には、事前準備を徹底
このような学生には、当たり前のことですが
「もう十分に準備をした、と自信をもてるまで準備をさせる」ことが効果的です。
では、自信をもって面接に臨める準備とはどういうことでしょうか。
多くの場合、面接で学生が自信を無くすパターンは、2つあります。
1つは、「自己PRに自信がない。面接官にどう評価されるのか気になる」、
もう1つは、「企業に質問されるとうまく答えられない」というものです。
まず1つ目の「自己PRに自信がない」パターンに関しては、
CASE1で述べた方法で自己PRとなりうる強みやエピソードを引き出し、承認しましょう。
その上で、納得のいく自己PRを準備することが重要です。
「自分が面接官にどう評価されているのか気になる」場合も、
CASE1で記した、「見られたい自分像に沿った納得のいく自己PR」があれば、
多くの場合、不安が解消されます。
次に2つ目の「企業からの質問に答えられない」に関しては、
シンプルですが、自信がつくまで企業研究をさせましょう。
この時、浅い企業研究で終わらせないための、学生への効果的な質問があります。
それは、「『1週間後にそこの企業で働いて』って言われたら、どうする?」と聞くことです。
おそらくほとんどの学生が「それは困る」と言います。
そこで学生に、「例えば、自分が明日そこに入社するってなったら、その会社の商品とか仕事内容とか、もっと調べるよね。それをイメージして企業研究をすると、今、わからないことがだいぶわかるようになると思うよ。それでもわからないことを企業にきいたり、自分が調べたこととすりあわせたりするのが面接の場なんだよ」と伝えてみてください。
企業研究の質も面接の質も劇的に上がるはずです。「明日から働くとなったら…」で基準を示し、
「それでもわからないことをきくのが面接」と、すべてを知り尽くす必要がないことを示す。
非常に効果的な問いかけですので、ぜひ使ってみてください。
<CASE3>
「自分に合う企業がわからなくて不安」な学生には、
もう一度、軸づくりをさせる
このような学生は、まずは、あるいは再度「自己分析」「軸づくり」を行うことが大切です。
夏に相談に来る学生は、一度は自己分析をして自分に合っていると思った企業を受けたものの
落ちてしまい、『自分に合ってる企業ってどんな企業なんだろう。そもそもそういう企業はあるのかな…」 と不安になっている場合が多いです。
もしくは、「もともとほとんど自己分析をしておらず、業界や職種、嫌な条件くらいで企業を選んで受けている」という人もいます。
しかし、求人企業が減っていく夏以降の就職活動で成功するためには、選考中の企業と自分の求める要素が合っていることが特に重要です。
自己分析のやり方としては、
自分が入社したいと思う企業の要素を出せるだけ出してもらい、重複しているものはまとめます。
残ったものに、must/wantをつけてもらい、最後に優先順位をつけてもらいます。
その結果を一緒に見ながら、本人が本当に望みたい要素を明らかにします。
このような整理をした上で企業を探すと、
「自分が大切にしていることはコレで、だからこんな会社に入りたい」と思えるようになり、
不安が解消されます。
■過去目線から未来目線へ
上記の支援・対策を学生に対して行った上で、ぜひ伝えたい考え方です。
就職活動が長期化している学生は、
「自分の何がいけないのか」「どうすれば前進するのか」という不安を抱えています。
なかには、「自分の○○がダメだった」と過去の自分を否定したり、
「もっと大学時代に○○をしておけばよかった」と反省・後悔したりする人もいます。
しかし、就職活動は“自分の未来の選択”です。
「これから自分がどうなりたいか?」「周囲からどう思われる人になりたいか?」と、
未来を向いた視点で考えるよう伝えると、学生は前に進みやすくなるでしょう。