2021年4月2日~6月16日に、22卒の就活生に対して、 就職課・キャリアセンターの利用状況調査を実施しました。
今回は、その結果をお伝えするとともに、新型コロナ前(20卒、調査時期2019.7-2020.3)、 新型コロナが猛威を振るいだした後(21卒、調査時期2020.8)と比較し、 新型コロナによって起こった変化を中心に見ていきます。
※就職課・キャリアセンターの利用状況調査 回答数:240件 期間:2021年4月2日~2021年6月16日
※弊社就職支援の特徴として、6月以降も就職活動を継続している学生が調査対象の中で多くの比率を占めています。
■就職課を知る最初のきっかけは、メールが年々増加
「大学の就職課・キャリアセンターを知ったきっかけは何ですか?」という問いに対して 「メール」と回答する人が、微増ではありますが年々増加しています。
また、昨年8月の調査で落ち込んだ「学部ホームページ」「学内の掲示板」「友人からの紹介」なども
20卒の数値に戻りつつあります。
昨年の8月というと、新型コロナの影響で多くの大学で授業が実施できなくなり、 リアルでの情報収集の手段が減り、そこに対応すべく大学としても オンライン化を急ピッチで進めていた時期でもありました。
就職課・キャリアセンターを知るきっかけ作りに大きな変化があった部分かもしれません。
この調査データだけでは読み切れませんが、 「学部ホームページ」「学内の掲示板」などの比率が戻りつつあることは、 オンラインで情報収集をする手段や情報のプラットフォームがこの1年間で作られたことなどと関係がある可能性があります。
また、徐々に「メール」でのきっかけが増えていることに関しては、 大学の授業がオンライン化したことにより、「メールを見ていないと重要な情報(授業の受け方など)を聞き逃してしまう」 という状態も関連していると思われます。
実際に21卒で支援した学生は、 「コロナ禍でメールを見るようになったが、こんなに就職情報のメールが届いていると思わなかった」 と話していました。
近年の学生はテキストコミュニケーションに慣れています。 普段、就職支援をしていても、電話には出ないのにショートメッセージやメールのレスポンスは早い という学生が多くいます。 電話で着信を残しても何の反応もない学生が、ショートメッセージを送ると10分足らずで返信をくれる、 といったこともあります。 「着信に気づいたらすぐに電話で折り返しましょう」といいう教えは、もう古いのかもしれません。
TwitterやInstagramなどのSNSに慣れ親しんでいる世代ですので、 テキストコミュニケーションを中心とした、
気軽に情報を収集できる場が就職課やキャリアセンターへの入り口になると、 より多くの学生とつながることができるかもしれません。
■就職課の利用頻度は下がっている
どれくらいの頻度で利用していますか?という問いに対しては、 「3か月に1回」と回答した人ガ昨年比で10ポイント弱増えました。
一昨年の20卒全体と比較すると13.4ポイントの増加です。
後述しますが、オンラインになり、キャリアカウンセリングの予約が気軽にとれるようになったことで、 これまで就職課を利用していなかった人が相談に来ていたりして、 一人当たりの利用頻度が下がり、これまでならスムーズに利用できていた人たちが 利用できなくなっているのかもしれません。
学生たちはネット上のさまざまな情報を見て、 自分に必要な情報はどれなのかを普段から取捨選択しています。
さらに最近は、SNSや広告などで、 その人に合ったものを表示するというレコメンド機能が充実しているので、
多くの学生が「自分に合った(必要な)情報にのみ反応する」という感覚を持っているかもしれません。
就職課のイベントについても、「就職課がやるからとりあえず全部行こう」ではなく、 「今の自分に必要な支援は何か?」を考えて、イベントに参加するかどうかを決めている、 という仮説が立てられます。
■「キャリアカウンセリング」の利用率が急増
昨年調査と比較して、最も変化が大きかったのが、就職課の利用内容です。
本調査では、初めて利用したサポート内容、利用したことのあるサポート内容のいずれも 「キャリアカウンセリング」の数字が大きく伸びました。
多くの大学でオンラインでのキャリアカウンセリングを実施したり、 対面で実施できる環境を整えたりしたことで、学生の利用が増えていますし、 当社にも、大学からキャリアカウンセラー派遣のご相談を頂くことが多くあります。
本記事の最初の章で、「今の学生はテキストコミュニケーションに慣れている」と述べましたが、一方で「人と直接会話をする」ことへの欲求ももっています。
情報収集や日常会話的なやり取りはテキストコミュニケーションで十分ですが、 就職活動のような大きなことに臨む際には、「自分の話を聞いてほしい」、 「詳しい人から、自分の考えや悩みに対して、フィードバックやアドバイスをしてほしい」 といった気持ちを抱いているのです。
そして「自分に合った情報(だけ)が欲しい」と考える傾向もありますので、 これらの点から「専門家への個別カウンセリング」のニーズが高まっているのではと思われます。
■就職課を事前準備とカウンセリングで利用、面接練習はオンラインでは難しい?
自由記述での「就職課・キャリアセンターを利用して良かったことは何ですか」という問いに対して、 21卒と大きな違いがあったのが、「面接練習が良かった」という声が 今回の22卒アンケートでは1件もなかったということです。
21卒のアンケート結果では、 「面接練習が効率的にできた」「面接練習ができ、客観的な意見がもらえたこと」 といった感想がありましたが、22卒では、書類添削や自己分析、カウンセリングなど、面接練習よりも前の、事前準備に関する良い声は多く寄せられましたものの、 面接練習を評価する声は1件もなかったのです。
オンライン化によって、面接練習が環境的にしづらくなったのか、それとも、面接練習は例年と変わらず実施しているものの、学生が「良かった」と思うような練習ができていないのか、どちらかはわかりませんが、少なくとも学生たちが満足するような面接練習の機会を作りづらくなっているようです。
また、就職課への要望に関しては、 例年と同様に「カウンセリングの予約」に関する意見が多く寄せられました。
オンラインでカウンセリングを受けられるようになったり、学生自身がリアルとオンラインというこれまでとは違う就職活動を行っていく必要があったりするなかで、 不安や疑問を抱える学生が増えてきています。大学もカウンセリング枠を増やすことを頑張っていますが、 なかなか需要と供給のバランスがとれていないことが伺えます。
Q.就職課・キャリアセンターを利用して良かったことは何ですか
・ESの添削や就活のアドバイスを頂けること。
・ESの添削をしていただけたこと
・ESを書くときのコツやテクニック、面接をする際の注意事項や
質問内容などのサポートをしてくれたことです。
・OB情報を見れるのがよかった
・グループワークや、集団面接練習など、とても役立ちました。
参加してよかったと心から思いました。
・さまざまな企業を知ることができた
・その時抱えてる不安を紛らわすことが出来ること。
抽象的な疑問でも具体的な対応をしてくれること。
・どのような求人があるのか、知れた点
・一対一の面談なので雑談感覚で話すことができて不安を紛らすことができる。
・何をしたらいいかわからなかったことが明確になった
・一対一でしっかり学生に親身に対応してくれる点が良かった
・学校内の組織の方なので信頼して悩みを話すことができた。
・自己分析のやり方が分かった
・親身に相談に乗っていただけた
・的確なアドバイスをしてくれる、相談することで少し不安がなくなって楽になる
・添削を丁寧に考えて行ってくれた。
・悩みを解決できた
Q.就職課・キャリアセンターへの要望があれば教えてください
・1コマの時間をもう少し増やしてほしいです。
・カウンセリングとES添削を別口にしてほしい。
・パソコン越しではなく対面でやりたいです。
・意見やアドバイスを統一してほしいです。
・対面でも面接練習がしたい
・入りやすい環境がほしい
・予約をもう少し取りやすくして欲しいです。
・予約制であること、担当に伝えることが具体的ではないことから
・利用できる回数が少ないので枠を増やしていただけると助かります。
・利用の仕方がわからなかった
・履歴書やエントリーシートの指導をもっと詳しく受けたい。
■まとめ オンラインで”個”にどう関わり、リアルに近づけるか
いかがでしたでしょうか。学生たちはこの1年間で、オンラインでの就職活動に馴染みました。
また、電話やリアルでの会話ではないコミュニケーション手段や情報収集手段も 活発に利用されるようになりました。
一方で、「就活に関するアドバイス等は直接してほしい」と考えている様子も伺えます。
オンライン化によって、1対1の面談の機会を増やすことはできていますが、 利用者が増えたことで、これまでリアルでやっていた面接練習がしつらくなっている、 というケースがあるのではないでしょうか。
当社も就活対策の研修や面接会を実施していますが、 オンラインとリアルとでは、やはり臨場感・緊張感が異なります。
オンラインをどうリアルに近づけていくか。 当社にとっても課題であり、追求していく点です。