日頃、各大学様とお話しする中でこんな声をよくいただきます。
・学内合同企業説明会で中小企業(BtoB)のブースが埋まらない
・早い時期から大手以外の企業も見てほしい
・BtoB企業ならではの魅力を知ってほしい、伝えたい
今の時代、大手企業が必ずしも良いとは限らない。だからこそ学生に中堅中小企業(特にBtoB)に目を向けて欲しいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
学生たちの中でも絶対に大手企業に入社したいという学生は、年々減ってきているように感じます。しかし、実際に学生が進んで中小企業にエントリーをするかというと、なかなか難しく、気づいたら大手企業しか受けていないという学生もいます。
また、新型コロナの影響で「安定した会社に入社したい」という思いも強くなっていると、経営基盤の安定した大手企業へ魅力を感じるかもしれません。
では、学生たちに中小企業の魅力をどの様に伝えていけばよいのか、中小企業の企業紹介の仕方をお伝えします。
まずは、中堅中小企業に目を向けてもらう
そもそも、中堅中小企業の魅力を知ってもらう前に、中堅中小企業に目を向けてもらう必要があります。特に、大手企業へのこだわりが強い学生には、就活成功のためにも、なぜ中堅中小(BtoB)に目を向ける必要があるのか、事実を踏まえて伝えることが重要です。
市況感を知ってもらう
市況感
・求人倍率が下がっている(買い手市場へ、選ぶ時代から選ばれる時代へ)
・企業規模に関わらず求人数はすくないまま
・日本の企業のうち大企業は0.3%
リクルートワークス研究所の調査によると、大学求人倍率は21卒6月調査時点で1.53倍に下がっており、22卒調査では、1.5倍まで微減しています。21卒で求人倍率が大幅に低下したのは2010年卒の時以来で、10年ぶりの低下でした。少しずつ市場が回復しているものの、22卒も微減しているところを見ると、新型コロナの影響はいまだ続いています。
「だからこそ安定している大手へ!」と考える学生も多くいます。実際に同調査によると2022年卒の調査では、従業員規模の大きな会社への就職希望者が増加し、従業員規模の小さな会社は就職希望者が減少しています。
図表2によると、300人未満の企業の求人倍率は22卒急増していますが、先にも記載した通り、新型コロナの影響で安定した大手企業への就職希望者が増えていることが背景にあります。また、同調査によると、22卒は従業員規模の大きな会社の採用枠数は昨年よりも増えています。しかし、採用枠数が回復しきっているというわけではないので、大手企業への就職が狭き門であることは、いまだに変わりません。
日本には現在400万以上の企業が存在し、大企業はそのうちの0.3%で上場企業は0.09%しかありません。大手企業に挑むことはより厳しい戦いです。
就活の初めの段階から、中堅中小企業にも目を向けて就職活動をしてもらうためには、現在の市況感をしっかりと伝えて、中堅中小企業も視野に入れた就職活動をすることの重要性を事実をもとに伝えましょう。
次に中堅中小企業の魅力を知ってもらう
次に、中堅中層企業の魅力を知ってもらい、エントリーや説明を聞いてみたいと学生に思ってもらえるような情報提供をしましょう。
中堅中小企業の魅力の伝え方(特にBtoB)
中堅中小企業に目を向けて貰うために企業の情報提供をする場面があるかと思います。
言わずもがなですが、学生は自分がイメージできる会社や仕事(飲食や化粧品等)に興味を持ちやすいです。だから、生活に身近な食品業界や飲食業界、サービス業界は学生からの人気が根強いです。
一方で、BtoB企業の場合、これまでの生活の中で関わったことのない商品や仕事が多いです。学生の中で扱っている商品や事業のイメージが付きづらいため、興味を持ちづらく、人気が出にくいです。
中堅中小企業の従業員規模や売上高、福利厚生等の条件面を伝えても、多くの場合、大手企業にはかないません。学生に中堅中小企業へ興味を持ってもらうためのコツは、「学生の生活の中の身近な事例で話す」ということです。
自分の生活とのつながりに気づいてもらう
中堅中小企業の特にBtoB企業の場合、モノづくりやニッチな製品を扱う会社が多く、その製品単体で見ると何に使われているのか全くイメージが付きません。
ですから、企業を紹介するときは、その会社の製品が学生自身の生活の中でどこに使われているのかを話し、まずはその企業の事業を身近に感じさせる事例を用意しましょう。どの会社の製品も、巡り巡って、学生自身の生活や日頃見聞きしている事物のどこかにつながっているはずです。
自分の身近なところにその企業の製品がめぐってきていると知れば、学生も興味を持ちやすくなります。
事例:『社名は知られていない空気圧制御機器のメーカー』
空気圧制御機器、きっと見たことがある方は少ないでしょうし、求人票を見ただけでは、馴染みの無い会社、製品だと思いがちです。しかし、この会社の扱う製品は実は学生の身の回りにも数多くあります。この企業を例に2つのポイントで企業の魅力伝え方を説明をします。
ポイント①:生活の中のどこで使われているのかを紹介する
実は、普段私たちが移動に使っているバスや電車には、空気圧が使われています。電車やバスのドアの開閉やブレーキは空気圧の力を使って行っています。また、空気圧を利用した医療用のロボットの開発も進んでおり、電車やバスなどの大型の乗り物から、繊細な動きの必要なロボットまで、空気圧は幅広く利用されています。
ポイント②:今後の事業や会社の展開を話す
空気は無限にあり、無害な物質です。モノづくりにおいての動力の伝達に使うにはもってこい資源です。クリーンで安全、そしてエコロジーなエネルギーとして身近なさまざまな場所で扱われています。
まとめ
いかがでしたか?
数年前までは、中堅中小企業への就職を希望していた学生も多くいましたが、新型コロナの影響でまた大手企業への志望者は増えています。先にも述べましたが、大手企業の採用枠は昨年に比べれば増えているものの、同時に希望者も増えたため、採用までの難易度は変化していません。
秋以降は、残っている求人も中堅中小企業が多くなります。学生自身も現状を理解して就職活動をしていることが多いですが、一人でも多くの学生が、しっかりと企業の魅力を分かったうえで自信をもって就活を進めてくれることを願っています。