秋になり、学生の就職活動の状況も様々になってきました。今回は、私たちが就職活動のサポートをする中で、主に声を聴く5つの悩み事に関して、学生の声と支援のポイントをそれぞれまとめてました。少しでも、皆様の学生サポートに役お役立ていただけますと幸いです。
※あくまでも一例です。学生一人ひとり状況は異なります。
秋以降 就職活動する学生の悩み事
【学生の声1】内定をもらったが納得できない
【学生の声2】4月から就職活動をしてきて最終面接まで頑張ってきたのに落ちてしまった
【学生の声3】ずっと同じ業界を目指していたが、上手く行かなくなった
【学生の声4】公務員を目指していたが、民間にシフトしてきた学生
【学生の声5】何らかの理由で、これから就職活動をする学生
【学生の声1】内定をもらったが納得できない
自分で内定をとったけれど、もっと良い会社があるのではないかと感じて就職活動を続けているというケースです。この場合、学生自身の中にどんな企業に入社したいのかが定まっていないことが多いです。まずは、「どんな企業と出会えたら就職活動を終えることが出来そう?」と聞いてみて下さい。
例えば、「〇〇業界で内定は、もらったが、勤務体制に不安があるの、〇月までチャレンジして結果が出なかったら、そこに決めます。」など、具体的に出てくる方は問題ありません。心配なのは「自分にあった企業がもっとほかにあるんじゃないか、と思って活動しています」という方です。
この場合は、現在内定を持っている会社になんらかの不安を抱えているけれども、具体的に何が足りていないのかや何があれば安心できるのかということが具体的ではありません。さらに、いつまでに終わらせたいなど目標を決めて就活していない場合は、頑張ったけれど、いつまでたっても納得のいく結果が出なかったいう状況になりやすいです。では、この学生をどうサポートしたらよいのでしょう?
まずは、「内定を持っているにも関わらず、なぜ就職活動を続けるのか?」という質問をして、内定を持っている会社に関する不安を理解しましょう。そして、その不安を解消する方法を一緒に探してみることが大切です。案外、内定先の企業に問い合わせをして解決できれば、あっさり心配なく就職活動を終えられる学生さんもたくさんいらっしゃいます。もし、それでも内定先の企業への不安がぬぐえない場合は、もう一度、就職活動についての作戦会議をしてみましょう。
ここでのポイントは
①どんな企業に内定をとれたら終了できるのか
②いつまでに内定をとるのか
③内定をとれなかった場合、どうするのか
を具体的に決めることです。これの3つを決めなければ、だらだら就職活動を続けることになり、学生の貴重な時間とお金を無駄にしてしまいます。今、内定をとっている会社より良い企業に内定を取るということは、その学生にとって、さらにレベルの高いことにチャレンジすることにことになるかもしれません。だからこそ、より覚悟をもって就職活動に取り組む必要があることを伝えることが必要です。
【学生の声2】4月から就職活動をしてきて最終面接まで頑張ってきたのに落ちてしまった
大学4年生のはじめから真面目に就職活動に取り組んできましたが、最終面接を延ばしに延ばされて結局、落ちてしまいました。これから、一から就職活動、とてもしんどいです。どうしたらよいかわかりません。というケースです。この場合は、どうサポートしたらよいのでしょう?
想像してみてください。就職活動の解禁をした3月からしても約半年、それ以上前から就職活動を頑張ってきた学生からしたら、最終面接に落ちてしまったことは、相当ショックなことにあたります。まずは、「一生懸命頑張ってきて頑張ってきて、その結果は相当つらかったね。」と学生の気持ちに寄り添ったうえで、最終面接までいけたことを誇りに思ってもらいましょう。そして、学生自身が最終面接で落ちてしまったことを受け止められている場合は、
・どうしてその企業を受けようとしたのか
・どうして最終面接までいけたのか
・どうして最終面接が受からなかったのか
などをこれまでの就職活動を振り返ることで、「今後、どのような企業に内定を取りたいのか」「希望の企業から内定をとるために対策することはなにか」「いつまでに何社くらいエントリーをするのか」を一緒に整理します。最終面接で落ちてしまって、気持ち的に落ち込んでしまっている学生は、このようにこれからの進め方の道筋を少し整理してあげるだけで、勢いよく次に向かっていけます。逆に、学生自身が最終面接で落ちてしまったこを受け止められていない場合(例えば、思い出すとポロポロと涙が出てしまうなど)は、上記のような振り返りをするのはやめて、今後に目を向けてあげましょう。
やることは、
・今後、どのような企業に内定を取りたいのか
・内定をとるために対策することはなにか
・いつまでに何社くらい申し込むのか
を整理してあげることです。特に、「今後、どのような企業に内定を取りたいのか」、つまり就活の軸の整理をしっかりサポートしてあげると、未来のことに目を向けられるので活動しやすくなります。
※軸の整理の詳しいやり方についてはこちらの記事の「内面の理解を進める具体的手法~自己分析~」をご覧ください。
就活ガイダンスで伝えるべき「就活の全体像」
https://career-mikata.jaic-college.jp/column/0032/
【学生の声3】 ずっと同じ業界を目指していたが、上手く行かなくなった
ずっと同じ業界を目指していたが、上手く行かなくなったので、そろそろ業界を広げて見る必要があるかもと考えているのですが。そこしか見ていなかったので、他の仕事に興味がわきません。改めて、探し始めたのですがどうも、曖昧すぎていて…具体的にどうやって広げたらいいかわかりません。自分の強みを活かせる自信がありません。というケースです。このような学生は、どうサポートしたらよいのでしょう?
この場合は、大きく3つのことをします。
①目指していた業界はどこで、どこが魅力的だったのかを聴く
これを聴くことで、その学生が仕事において魅力的に感じるポイントや、思考パターンなどが見えてきます。今後の企業選びのヒントがたくさん詰まっているので、まずはじっくり話を聞きます。
②就活の軸の整理をします
この悩みを抱えている多くの学生は、自分がどんな企業を受けたらいいのか、自分に会う企業(業界)はどんなところなのか、曖昧でよくわかっていないことが多いです。そのため、就活の軸整理が有効です。軸を整理しながら、自分がどのような企業に興味がもてるのか具体的にイメージできると、就職活動への意欲が各段にアップします。
③企業研究・業界研究を一緒にやってみる
学生の声で多いのは、他の業界に興味を持つためにするべきことがわからないという意見です。そのため、他の業界に興味を広げたいという方には、一度、企業研究や業界研究を一緒にしてみるのもおススメです。例えば、1社具体的な企業をピックアップして、学生の就活の軸や価値観や強みとテラシながら、「この仕事をする時には、あなたのこういうところが活かされるんじゃないかな?」「あなたはこんなところに興味があるって言ってたから、この仕事のこんなところ、面白そうじゃない?」など、共通点を1個か2個、一緒に探します。
すると、「こんな風に共通点を見つければいいんですね!」と、共通点を見つけるやり方さえわかってしまえば、どんどん自分でできる学生は多いです。業界を広げてみたいという学生がいらっしゃったら、以上3つのサポートを通して、学生の可能性を広げてみてください。
【学生の声4】公務員を目指していたが、民間にシフト
公務員を目指していたのですが、試験に落ちてしまって、民間企業の就活に切り替えるケースです。夏から秋にかけてよく聴くこの声ですが、就職活動のサポートをする時にはどのようなポイントをおさえれば良いのでしょうか?
まずは、本当に民間企業に気持ちも切り替えをできているかどうかを確認します。本人が納得して、民間切り替えが出来ていれば問題ありません。しかし、同じ公務員から民間の切り替えでも、まだ公務員への未練が残っていたり、民間企業に関して、あまり良いイメージを持っていない場合は、注意が必要です。
例えば、
・公務員に落ちてしまったけれど、C日程まで粘って頑張りたい!だから、民間の就職活動は保険です。
・そもそも、民間の企業ってあまりよくわかっていません。よく、聴くドラマのようなイメージで、どこの企業も「ノルマ」とか「サービス残業」とかのイメージがあって怖いです。
・民間であわよくば内定もらって、もらえなければもう1年公務員を目指そう!それか、民間に1年くらい腰掛けて、もう一度、公務員を目指そう!
という気持ちを持っている方もいらっしゃいます。もちろん、このまま上手くいく方も多くいらっしゃいますが、この気持ちのまま就職活動をされて、年末に苦い思いをされる学生さんを多くみてきました。このような学生をサポートする上でおさえてほしいポイントはたった2つです。
①民間企業のイメージをきいた上で、民間企業が存在する意義をお伝えする
まずは、率直に「民間企業ってどんなイメージ?」と聴いてみてください。その方の考える民間企業のイメージが見えてくるので、どの程度、民間企業について理解しているのか、目安にしてみて下さい。そのうえで、「民間企業は、求められていないところには出来ないよ。どの会社も、そこに顧客のニーズがあるからこそ、存在しているんだよ。もし、そこにニーズがない場合は、数年でその企業は廃業してしまっているからね。10年以上続いている会社があるのであれば、その企業の企業理念・業務内容・働いている人のインタビューをチェックしてみて。きっとその企業がどういった点で社会に必要とされているのかを理解できると思うよ。」など、民間企業の存在意義を伝えて上げてみて下さい。
実際、筆者も新卒の際、公務員から民間にシフトしましたが、極端な話、「公務員=綺麗なお金」「民間=汚いお金」と、ありもしない偏見を持っていたことがあります。知らないということは恐ろしいことです。少しでも、学生の偏見を解消してみてください。
②民間の就職活動をする上での覚悟をもってもらう
民間企業に内定をもらうことは、甘くないよ。と厳しく伝えることも1つ、学生のための支援だと私は考えます。だからこそ、ここでは採用する側の視点と覚悟を持つ大切さを学生にお伝えします。
「新卒を採用するということは、会社にとって将来の投資と一緒で、将来活躍してくれる方に、会社を支えてくれるであろう方に内定をだす。これから、内定獲得のために突破しなくてはならない「最終面接」では、その覚悟が問われることが多い。そして、面接官も何人もの大学4年生を見てきているから、ある程度、覚悟を持っていない学生はわかってしまうよ。それに、内定をだしてもらうということは内定の承諾期限があるということ内定の承諾期限に関しては、だいたい2週間~1か月という会社が多い。それより短い会社もある。そうなった時に、公務員の結果を待ってください。と言えない状況になることだったあるよ。だからこそ、公務員でいくか、民間でいくか、もう一度考えてみることが必要だよ。もし、公務員でいくなら、今、全力で公務員に向けて試験対策を頑張って、結果を出すことが大切。全力だしてもだめで、民間で頑張りたい!とう時は、全力でサポートするから。この話をきいた上で、民間の企業も視野に入れて就職活動をするのであれば、この会社に内定をとったら、自分は納得できるか、入社する覚悟はあるのかを考えながら就職活動をすることが大切だよ。」
このように伝えた上で、学生がどのように就職活動を進めるかを選択することが、サポートにおいてのポイントです。
【学生の声5】何らかの理由で、これからはじめて就職活動をする学生
これからはじめて就職活動をする学生においては、理由によって状況も対策も異なります。
例えば
・アルバイトが忙しくて、アルバイト先の事情もあってシフトを減らすことができず、就職活動が出来ていませんでした。
・身内の不幸があってなかなか立ち直れず、ようやく気持ちの整理がつき活動し始めました。
・身内の介護があり、どうしても手伝う必要があり就職活動出来ていなかったのですがようやく就職活動ができるようになりました。
この様な場合は、本人の主体性に任せて就職サポートをすれば、大抵の場合うまくいきます。
しかし、例えば
・就職活動を始めたのですが、最初のほうで挫折して、ほぼはじめて就職活動の状態です。
・コロナということもあり、外にもでれないですし、なかなかどう就職活動をすればよいかわからず、時間だけ過ぎてしまいました。
・就活…めんどくさくて出来ていませんでした。
など、外的要因というよりかは、学生本人の気持ちが原因で就職活動ができていなかった場合はしっかりと就職活動の道筋を立ててあげることが必要です。ここでは、後者の学生支援のポイントを解説します。
このケースの学生は、自分1人では就職活動の動きが止まってしまう傾向があります。
ですから、
・就職活動のスケジュールを細かくたてること
・スケジュールが実施されているか確認を行うこと
この2点が必要になります。
先述したように、内定を取得するまでに必要な
・今後、どのような企業に内定を取りたいのか
・内定をとるために対策することはなにか
・いつまでに何社くらい申し込むのか
ということを学生の合意をとりながら一緒に考え、計画を立てるところまでは、通常のサポートと変わりません。
加えて、このタイプの学生は「スケジュールが実施されているか」の確認が必要です。やらなければならないとわかっているけれども、自分ひとりの気持ちだけでは進めるのが難しい方ですから、支援者側も根気が必要ですが、しっかりと確認をして導いていきましょう。
まとめ
以上、学生の声とその支援のポイントについてお話ししてきました。何か、皆様のヒントになることはありましたでしょうか。秋になり、おひとりおひとり、色々な事情を抱えながら就職活動を進めていらっしゃいます。今、目の前に相談に来ている学生はひょっとしたら、こんな状況にあるのかもしれないな。と参考になりましたら幸いです。