「就活」ってつまり何をするの?を解決する就活ガイダンス
多くの大学で、就職活動を始める前の学生向けに「就職ガイダンス」を開催されることと思います。
最初の就活ガイダンスでは、何を伝えていますか?
就活スケジュールの解説でしょうか?企業の調べ方や就活準備のやり方でしょうか?
就活ガイダンスに参加する学生の中には、「そろそろ就活の準備をしなくてはいけないが何を始めればいいかわからない」、「やりたいこともなくモチベーションもあがらない」「自己分析ってなにするの?」など、就活とはつまりどんなことをしていくことなのか、やることは知っているが、具体的に何をすれば良いのかわからない学生もいます。
こちらの記事は、就活の全体像と具体的にどのような準備や対策をすべきなのかをお伝えします。
就活の全体像
就活とは、つまり○○と○○の接点を探す活動
就活とは、「自分」と「企業」の接点を探す活動です。
学生に「どんな会社に入社したいですか?」と聞くと、多くの学生が「自分に合った会社に入社したいです」と話します。同様に企業に「どんな人に入社してほしいですか?」と聞くと、「弊社に合った学生(もちろん、具体的な人物像が出てくることが大半です)を採用したいです。」と話します。
ここでの「合った」というのは、つまり学生の価値観や強み・関心が企業が求める人物像と一致しているかどうかということと、企業の理念や仕事内容、事業展開などに学生が共感したり、自分がやりがいや楽しみをもってその会社で働くイメージができる(強みを発揮し、価値観が合う)かどうかということです。
このお互いが重なり合う部分が大きければ大きいほど「合った」企業であるといえるでしょう。
この重なり合った部分を大きくする活動が就職活動なのです。
接点を探し、大きくするためにやるべきことは大きく分けて3つです。
①自己分析:自分についての円を大きくする
②企業研究:企業に関する円を大きくする
③面接対策:初対面の相手に、自己と企業の接点をわかりやすく簡潔に伝える練習をする。
です。
ただし、接点を探すうえで大事なことは、自身と企業の「内面」での接点をさがしていくことです。
内面とは何か?
内面とはなにか?それは、目に見えない価値観、強み、将来像を指します。
就活を初めてすぐは、目に見える外面に関心がいく傾向があります。例えば、有名な商品・サービスや福利厚生、条件面を指します。
「残業が少ないところがよい」「家に近い勤務場所がよい」「あの商品のファンだから開発に携わりたい」
このような外面のみの接点で就職活動をした場合、就活の長期化や入社後のミスマッチにつながる可能性があります。
企業も、「採用してすぐ辞めてほしくない」と考えるからこそ、「自社の考えと合うのか」「仕事内容はあっているか」といった内面をみたいと考えています。
ただ、この内面の理解というのはお互い容易くないことでもあります。さらに、学生は面接の場で、言葉にしてそれを企業へ伝えなくてはなりません。
どのような準備をしていくのか?具体的な手法とともに、おすすめのやり方をご紹介します。
内面の理解を進める具体的手法~自己分析~
自己分析で、自身の「価値観」「強み・弱み」「将来像」を言語化していきます。
価値観
「価値観」とは、自身が行動や選択していくうえで大事にする考えのことです。この考えに即した行動をしていると、やりがいを感じたり、モチベーションがあがったりすることにつながります。
次の3stepで過去の経験を深堀していきましょう。
Step1 自身が今まで取り組んできたことで印象に残っていることを箇条書きで書き出す。
この時、成功体験だけでなく、失敗した体験など「印象に残ったかどうか」という判断基準で書き出します。
学生は「就活」「自己分析」「自己PR」となると、途端に成功体験ではないといけないとか、大きな成果を生んだことである必要があるなど、物事の大小で判断しがちですが、価値観を考える上では、ほんの些細な事でも「印象に残っていれば」なんでも良いのです。例えば、通学途中の電車で起こった日常の出来事でもよいのです。
Step2 ①やりがいを感じたとき ②モチベーションがあがるとき ③選択するうえで大切なことを書き出す
箇条書きにして並べたエピソードを見ながら、何にやりがいを感じたのか、どうしてモチベーションが上がったのか、なぜその選択をしたのか、など、「なぜ」「なぜ」と繰り返し問いかけながら、エピソードの分析をひとつずつ進めていきます。
この時、なるべく細かく、紙に書き出してみることが重要です。
Step3 それぞれの経験で共通していることや大切に思うことを整理する。
エピソードの分析が終わったら、印象に残った経験の中で、共通していることや大切にしていることが何かしらあるはずです。書き出した分析結果の中によく出てくるキーワードや心に残ったキーワードを探してみてください。
それが、その学生の「価値観」です。
「何にやりがいを感じるの」か、「どんな事でモチベーションが上がるのか」、「どんな判断基準で物事を選択するのか(=大切にしていることは何か)」が見えてきて、学生自身が納得できれば自己分析成功です!
強み・弱み
「強み・弱み」とは、自分自身の行動特性です。今までの経験のなかで「困難に感じたこと」や「目標達成をすること」において、学生がどのような行動をとってきたかということです。例えば、飲食店のアルバイトをしている人が、「お客様を喜ばせたい」と考えていても、それをどう行動に移すかは、その人の特性によって変わってきます。
どのような客層が来店するのかを考えデータを分析する人もいれば、直接お客様から要望を聞く人、丁寧に盛り付けをし見栄えをよくする人、わかりやすくチラシ作成する人など、、、。行動特性によって、考えたことをどう行動に移すかが異なります。
それでは、具体的なやり方をご紹介します。
強みは、自身の成功体験を得た出来事を細かく振り返ります。
価値観と同様に、経験や出来事の深堀を行うのですが、強みは行動特性の分析なので、「その体験の中で、どうやって(どう考えて)成功に導いたのか」という、行動や考え方に関することを書き出していきます。
ここで注意したいのは、社会人としての強みは、相手との関わりのなかで発揮していくことが求められることが大半であるということです。できれば自身の体験の中でも、周りの人との関わりの中で強みを発揮した経験を掘り下げていくのがよいでしょう。
弱みは反対に失敗体験を細かく振り返ります。
失敗体験の中で、自身がうまく行動できなかったことを具体的に書き出します。「どんな行動をして、どんな考え方をしてしまって失敗をしてしまったのか。」強みと同様、行動や考え方に関することを書き出していきます。
弱みを考えると、マイナスな見られ方をしてしまうのではないかと不安になる学生もいますが、弱みを見つけるだけでなくどのように改善しようと思う(している)かも必ずセットで考えるようにします。
将来像
「将来像」に関しては、上記で整理した価値観・強みをもとにどのような社会人になっていきたいかを言語化します。
「どのような社会人になりたいか」この問いは、学生にとっては難題かもしれません。
なぜなら、将来像は多くの場合、社会人とたくさん出会ってどのような姿があるのかを知っていくことで明確になっていきます。
企業の説明会やOB・OG訪問などを積極的に活用し、多くの社会人のキャリアに触れることで、自身が理想とするキャリアモデルが見つかります。そのうえでどのような経験を積むとその理想のキャリアモデルを目指せるのか考えていくことが大事なポイントです。
また、いままで尊敬する人はどのような人だったか考え、その共通点を探し深堀りしていく方法もあります。
内面の理解を進める具体的手法~企業研究~
企業研究では、就労条件や企業概要等の外面の情報のみでなく、内面での接点を考えるために必要な①企業の価値観(理念や社風) ②仕事で求められるスキル ③事業展開・キャリアパスをみていきます。
価値観(理念・社風)
企業の価値観(理念や社風)は、まずは企業のHPや採用ページで企業理念、社長・社員のインタビューを確認します。
きっと、共通して出てくる言葉やキーワードが見つかるので、そこから、この企業が何を大切にしていそうかを考えます。
企業と出会う場があれば、逆質問を積極的にして、事業にこめた想いや社員のやりがいなどを聞き、企業の理念や社風などの内面的な情報を得ます。
仕事で求められるスキル
仕事で求められるスキルを考えていくためには、「誰に(顧客)」「何を(商品やサービス)」「どのように提供するのか」を調べます。そのうえで、どのようなスキルが求められそうか考えます。
例えば、企業向けの商材を扱う企業でも、その企業が何業界に属しているのか、どのような業界の顧客がいるのか、商品の単価はどのくらいかなどを掘り下げていくと、企業毎の違いが感じられます。
また、同じ業界の中でも、億単位の機械を売る商社もあれば、1ロット数万円の冷凍食品を売る商社もありますし、
全国に店舗を持つ小売業の企業と地元密着で展開している小売業の企業でも、どんな事が仕事で求められるかは異なります。
事業展開・キャリアパス
その企業の事業展開や務めている人のキャリアパスを知ることは、自身の将来像に関連してくる箇所です。
例えば、事業展開において、積極的に海外に商品を展開していくのか地域密着でより質を高めるのかというように、企業の方針によってその企業で活躍するために求められる資質や将来得られるスキルが変わってきます。この企業は今後どういった方向に進んでいくのか、入社後にどのような仕事の選択肢があるのかという点で企業を調べます。
その会社で得られるスキルは、学生自身の将来像が実現できるかどうかに直接的に関わってきます。この得られるスキルというのは、最初に入社した1社で必ず全てが得られる訳ではないかもしれません。学生自身の人生を通して、叶えたいと思っている将来像の道のりの中にあるかどうかという視点で考えるとよいでしょう。
「マーケティングや企画職がやりたい」という学生で、営業職や総合職の求人が多く困っているという声をしばしばいただきます。企業側の意図としては、企画職になる過程で、営業職のスキルやお客さんを知るという経験を積んでもらうため、適性にあったキャリアを入社後に見極めるために総合職や営業職で募集をしています。この点をしっかりと学生に認識してもらうことも新卒採用の場合は必要です。
自己と企業の接点をわかりやすく簡潔に伝えるための面接対策
「自己分析」と「企業研究」をしていくなかで、接点をみつけていくことができたら、それを面接の場で相手にわかりやすく伝えていく必要があります。
①印象面 ②内容面をそれぞれ準備します。
印象面
印象面は、社会人において基本的なスキルである「相手目線にたてるか」という能力を測るのに重要なポイントです。相手の警戒心をとかせ信頼関係を得るためにも、挨拶や身だしなみ・マナーは気を付けていきましょう。
1次面接では、印象面が合否に大きく影響を及ぼします。相手はどう思うかという視点を考え、正しい内容を学び、準備していきましょう。
第一印象をアップさせる指導方法は下記の記事でご紹介しています!
https://career-mikata.jaic-college.jp/column/0031/
内容面
内容面においては、論理的に相手に話を伝える方法として「PREP法」という方法があります。
Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(結論)
という流れで文章を構成していきます。
問いに対して、はじめに結論を述べることで相手も理解しやすくなります。
また緊張で話しているうちに何を伝えたいかわからなくなることを防ぐためにも、まず結論を伝えるという意識で対策をしましょう。ただし、考えた内容を1字1句覚える必要はありません。思い出すのに必死で不自然な振る舞いになったり、思い出せないと焦ったり、相手に機械的な印象をあたえてしまいます。伝える内容が整理できたら、キーワードや流れを確認し、アウトプットして練習をしてみましょう。
自己PRの指導のコツは下記の記事でご紹介しています!
https://career-mikata.jaic-college.jp/column/0021/
まとめ
就職活動や面接を一種のテスト、自分を評価されていると捉えてしまう学生も中にはいますが、就職活動は本来、自身の社会人生活(人生)で実現したい将来像をどうかなえていくのか(叶えられる企業か)、また企業にとっても、どんな人を採用すれば事業の拡大や展開をしていくことができるのか(企業の発展に貢献しくれる人か)という、お互いのすり合わせの場です。
就職活動を通して、企業と学生お互いが内面の理解を深め、接点が多い企業に出会うことができると、納得のいく就職活動の終了、さらには入社後の定着・活躍につながっていきます。